
お話を伺った方
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系
道上 達男 教授
脳や神経の「境界」を決める微量な転写因子と力学的作用の動態を追う
私は、アフリカツメガエルの卵を用いた初期発生において、脳や末梢神経といった組織の「境界」がどのように決定されるのかを研究しています。このプロセスを司る鍵は「転写因子」ですが、これらは一般に発現量が非常に少ないのが特徴です。
解析データにおいて、発現量の多い遺伝子だけでなく、低発現・中発現領域にある転写因子の微細な変動をいかに正確に捉え、比較できるかが研究の成否を分けるポイントとなります。
「Fastqだけ渡されても、そこから先が相当大変」
これまでRNA-seq解析に対し、多くの研究者が二の足を踏んできた背景には、コスト以外の不満がありました。
- 実質的に1サンプルから発注できない:多くの受託サービスは5個や8個など複数サンプルからの受付が多く、1サンプルだけ試したい時には不向きでした。
- バイオインフォ解析の重い負担:生データ(Fastq)だけを返されても、エクセル形式で考察できる状態にするまでには多大な時間と専門知識が必要です。
- 品質確認(QC)の設備不足:ラボにバイオアナライザーがない場合、解析を依頼する前の品質確認のためだけに、機器を持っているラボを探し回る手間が発生していました。
1サンプルから発注できる、「とりあえず見る」ができる入り口の広さ
今回、解析を依頼するにあたり、判断材料の一つとなったのは、1サンプルから依頼できる点でした。「とりあえず一回やってみよう」と思える圧倒的な気軽さです。
さらに、サンプルのRNA精製、RNAの品質確認、遺伝子発現量の定量化まで、「いつも研究室で行っていた前後のタスクがすごく端折られている」状態で納品されるため、リソースの限られた大学の研究室にとってメリットがありました。
「プレリミナリーと言いながら、具体的な遺伝子の名前を書き込める」
今回の解析は「まずは当たりをつける」 という目的でしたが、得られたデータには期待以上の価値がありました。 最大のメリットは、「プレリミナリーと言いながら、具体的な遺伝子の名前を書き込める」 ことです。これにより、単なる予備データに留まらず、非常に「具体性が出る」結果を得ることができました。
この具体性があれば、科研費の申請書においても「こんな遺伝子が上がっているから、これ(この研究)をやりたい」と明確に書くことができます。「思いつきで、これってどうなってるんだろうという研究がRNA-seqレベルでできる」 という気軽さは、研究を発展させるための大きなメリットです。

略歴
| 1990年 3月 | 東京大学理学部生物化学科 卒業 |
|---|---|
| 1995年 3月 | 東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻博士課程 修了 |
| 1999年 5月 | 独立行政法人科学技術振興機構 研究員 |
| 2005年11月 | 東京大学大学院総合文化研究科 助手 |
| 2006年10月 | 独立行政法人産業技術総合研究所 主任研究員 |
| 2008年 4月 | 東京大学大学院総合文化研究科 准教授 |
| 2015年 8月 | 東京大学大学院総合文化研究科 教授、現在に至る |
役職
| 2024年 4月〜 | 大学院総合文化研究科・副研究科長など |
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応嘱
国際生物学オリンピック日本委員会委員長など
本記事は、個人の使用経験および見解を紹介するものです。所属大学または部局が、当社もしくは本サービスを推奨、認定または保証するものではありません。また、本事例は個別の利用例であり、同様の解析結果や研究成果を保証するものではありません。
本記事は取材内容を基にゼオンバイオソリューションズ株式会社が編集し、掲載内容について取材対象者の確認を受けています。